事務所ブログ

2018.09.07更新

多忙で相当さぼっていました。
さぼっている間にいろいろな話題がたまりました。

たまった話題の一つに、
「最近信用金庫が会社経営者に下記のような営業をしているという話を耳にしました」
というのがあります。

「社長さん、将来の相続心配ですよね、相続対策で社長さんの持っている土地を会社で買い取りしませんか?資金は私共が融資します」
「それで、売却代金で一時支払生命保険に加入し、私共がお勧めする投資信託に投資なさいませんか?」
「相続税の対策を行うと同時に資金運用が行えますよ」

えー、ほんとーですか?????
ちゃんとした根拠があって勧めているのでしょうか?
試算して勧めているのでしょうか?

確かに相続対策として、会社経営者の所有する不動産を、その経営する会社に買い取らせることを勧めることはありますし、私は、有利であるとの結論が出れば積極的にお勧めしています。
しかし、社長様のご年齢によっては、相続財産が増えて相続税を多く払わなければならない場合があります。ケースバイケースです。

同族会社とそのオーナー社長との間で不動産取引をする場合、その取引価額は "時価ですよ"という規定があります。
では、『時価』って幾らなんでしょうか?
不動産屋さんが通常取引する価額ということになるのでしょう。
でも、都合よく直近に不動産取引があり、その取引価額がわかるなんてことはめったにないです。
ですから、我々は、不動産鑑定士の先生に鑑定評価をお願いし鑑定評価額を時価とするか、その該当の土地の相続税評価額の1.25倍を時価として取り扱います。

「いやいや、同族会社とそのオーナー社長との間で不動産取引をする場合、その取引価額は、『時価の1/2を超える価額』で良いのだよ!」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、実際にやってみてください。
税務署が気付かねば儲けものです。
理由は申し上げませんが、私は絶対にやりません。お断りです。

該当の土地は、
市街化区域にある宅地
オーナー社長の所有
面積は1,000㎡(約300坪)
路線価は60,000円/㎡
会社へ賃貸しており、会社はこの土地に社屋を建てている。賃貸料は相当の地代(当該土地の相続税評価額の6%相当)である
とします。

この土地の相続税評価額は、
60,000円×0.98×1,000㎡×0.78×0.8=36,691,200円
36,691,200円-36,691,200円×400㎡/1,000㎡×0.8=24,950,016円
となります。
そうしますと、
税務上の時価は、
36,691,200円×1.25=45,864,000円
ということになるでしょうか。

多分、鑑定評価額は、4千万円前後ではないでしょうか。

このような場合、もう一つ考慮しなくてはいけないのが、土地を売却した場合の税金です。
税法上の時価で取引した場合は、
約45,864,000円×0.95×20%=8,714,100円
となります。
鑑定評価額で取引した場合は、
約40,000,000円×0.95×20%=7,600,000円
となります。

そうしますと、それぞれの取引における手取り金額は、
税法上の時価で取引した場合・・・37,149,900円
鑑定評価額で取引した場合・・・32,400,000円
となります。

もうお分かりですね。
会社に土地を売却すると、相続税評価額24,950,016円の土地が、少なくとも32,400,000円のお金に化けて財産が増えてしまいました。
このお金の対策ができなければ、当然、相続税の負担も増えます。

しかも、信用金庫の提案では、売却代金で、一時支払生命保険に加入し、投資信託への投資を勧めていたんでしたね。
一時支払生命保険は、今のところ相続対策にはなりますが、既に加入しているのに追加加入してしまったら全く効果はありませんよ。よく考えずに勧められるまま追加加入した事例はよくあります。
また、投資信託への投資は要注意です。確実に損させられます。ほんとですよ。何件も実例があります。相続対策どころの話ではありません。

ともかく、付け焼き刃の知識のアマチュアの言うことを真に受けず、専門家に相談することが必要ですよ。
相続なら税理士です。

投稿者: 水野充永税理士事務所