事務所ブログ

2018.10.03更新

さぼっている間に蓄まった話題の一つですが、もう一つ銀行のお話です。

大手銀行などが相続ビジネスに参入してきたようです。
低金利や貸出先が減少しているので、コンサルタントによる手数料収入を狙ってのことでしょうか。

私の顧問先の社長様の所へ、メインバンクであるメガバンクが、以下のような話を持ち込み、パンフレットや資料を置いて行きました。

「相続対策として、系列の信託銀行で遺言信託をなさいませんか?」
「相続争いの防止になりますし、ご相続人のご負担が軽減できます。」
「ご相続申告は、現在顧問をなさっています税理士先生にお願いすることになりますので、その点もご安心いただけます。」
「顧問税理士先生が相続税申告をおやりにならないということであれば、当方でご紹介もできます。」

だそうです。

そして、社長曰く、

「一応、メガバンクさんが私の財産を計算してくれて、そしたら、相続税も出るようだし、結構な額で驚いたよ。」
「先生、メガバンクさんだから安心できるし、何か良さそうだし、費用は高いけど契約してみようと思う、どーだろうか?」

はぁ~???です。

私の心の声は、

「もう何年も前から提案しているのに無視していたくせに、、、、、なんだよ。」
「遺言信託って、、、なに?」

ですが、こんなこと言えませんので、

「社長さん、やっとその気になられました。ちょっと資料を見せてもらってもいいですか?」

とお願いして、資料を拝見しましたところ、

またまた、はぁ~???です。

メガバンクが提案してきた『遺言信託』というものですが、
パンフレットを見ると、『信託法上の信託』ではなく、メガバンクの系列の信託銀行が公正証書遺言の作成の手伝いをし、遺言書を保管し、遺言執行をするサービスを行うというものです。
『信託法上の信託』ではなく、あくまでも民法上のごく普通の遺言書を作成し管理するだけなのです。
繰り返しますが、『信託法上の信託』ではないのです。
こんなのは、司法書士さんの協力の下で、ごく普通に我々が相続対策でやっていることです。

で、驚かされたことは、提出された財産目録に記載された財産のうち、土地及び自社株の評価額がでたらめということです。
税理士が評価計算したものとは思えませんでした。
全くもってお粗末な限りです。
少なくとも財産評価ぐらいはまともにやってもらいたいものです。
いい加減な財産評価に基づいた試算により遺言を作成されてしまうところでした。
呆れます。

また、提出された財産目録に死亡退職金が計上してあるので、

「社長さん、この資料では、社長さんが亡くなったら退職金3億円支払うことになっていますが、会社で積み立てていましたっけ?」

と尋ねたら、

「いや知らんよ、、、、、思い出した、まだ契約していないが、あんたが勧めてくれた保険の他に、メガバンクさんが勧める保険に入ると、私が死んだ時に3億円貰えると言っていたな。それのことだ。」

「あのさ~、、、です。」

それで、

「社長さん、掛金はいくらなんですかねー、一時支払ですか?月払いですか?年払いですか?社長さんのご年齢からすると相当高額な掛金と思いますが、支払えますかねー。」
「社長さんが亡くなった後に、3億円必要ですか?」

と申し上げたら、

「詳しい話は知らないよ。メガバンクさん勧めるのだから良いと思ったたけだけど、、、だめか?」
「あんたが勧めないのならやめとくよ。」

営業成績のため、むやみに保険に加入させようとしたとしか思えません。

ということで全て取りやめとなりました。

メガバンクの系列の信託銀行が認知症対策や相続争い対策として『家族信託』を提案実施してくれるとか、
顧問税理士さんが全く相続対策をやってくれない場合は別ですが、
相続対策を提案できる税理士さんとお付き合いがあるなら、
こんなものを決して絶対に契約してはダメです。
費用もバカ高く、ご契約者のメリットなんて全くないのですから。

メガバンクのブランドのご威光か、メガバンクの行員の方の言うことは、何かすごいことに聞こえるのでしょうね。

将来の相続がご心配なら専門知識を持った税理士を探し依頼することです。
素人やアマチュアはいけません。

投稿者: 水野充永税理士事務所